ナレーション 「時に宇宙世紀256年。支配層と被支配層の争いは熾烈を極めた。その戦いの中で、多くの戦士達が死に、そして生き残った者たちは、新たなる戦いの舞台となる地球へと降り立った」



タイトル

「揺れ動く世界を」

− Feel the Earth Move −



 ボッシュ 「どうやらアベルは無事らしいな」

 AJ 「無事どころか、元気すぎる。とんでもない成果だ。我々が破壊したマクライン工場のニュースが消し飛ぶレベルのね」

 ボッシュ 「そっちは元々、大っぴらにしないさ。これでも、アーサーの奴が仕事してるって事だろ」

 AJ 「なるほどね」

 ボッシュ 「・・・おそらくアベルは第2目標地点へ向かうだろう。そこで合流出来るといいが」

 AJ 「それで、艦長どのは、何の用で私を呼びつけたのかな」

 ボッシュ 「アリスタリウス攻略とセツルメント、パーノッド派とエクレシアの結託。パワーバランスは均衡と言っていい。そして、切り札のGはこっちの手にある」

 AJ 「何が言いたい?」

 ボッシュ 「そろそろ、あンたの手の内が知りたいのさ。あンたは、俺たちが知りたい最大の情報を持ってる・・・」

 AJ 「こいつの、事、かな」

 ボッシュ 「やはり・・・、これは・・・」

 AJ 「私を頼らずとも、ディープ・スロート・・・。キミらのスポンサーが知ってるだろう?」

 ボッシュ 「情報が強固に越した事はない。それに、部下の手前、タダ飯を食わす訳にもいかんからな」

 AJ 「やれやれ。最新のGと、月での一件は忘れられてるのかな。むしろ、こちらがディープ・スロートの正体を知りたいぐらいだ」

 ボッシュ 「なァに、あンたの事は信用してる方さ。これでもな」


 アベル 「ん・・・、朝、か。地球での時間区分って、何だか宇宙よりはっきりしてる気がするなぁ」

 アベル 「よし、と。方角はこのままでよし。昼までには、第2目標地点に付けるかな。皆も無事だといいけど・・・」

 アベル 「アーティカさんたちと別れて3日、か。第2目標ポイント、ベアデン軍事工場・・・。頑張らなきゃ。みんなとも合流しなきゃ」

 アベル 「さあ、残りの兵器を壊してしまおう。行くよ! ギルティ!」


 ボッシュ 「君に朗報だ。アベルは無事らしい」

 シャヒーナ 「・・・どうも」

 ボッシュ 「もう少し嬉しそうな顔をしてやれ。本人の前じゃ、な」

 シャヒーナ 「気を、付けます」

 ボッシュ 「ケネス! 次の予定を伝えるぞ!」

 ケネス 「はいよー」


 シャヒーナ 「はい、レション」

 ケネス 「さんきゅ。で、夕方までにはドンパチ始まるってよ」

 ジーン 「お前ら、最近マシンの扱いが荒すぎるぞ。もう少しマシンと俺らを労われッ」

   テリー 「とは言え、前回と同じく工場、なんだろ? 厄介な戦闘じゃあるまいよ」

 ケネス 「うまく行くといいがな。宇宙からの補給がままならない今、次のベアデン工場は、議会軍に取っちゃライフラインだ。簡単って訳には行かんだろうぜ。俺達の所在も明らかになった訳だしな」

 テリー 「ハ。そうかい? 俺らの腕と、このマシンがありゃ、さしたる苦労はしない気がするね」

 ケネス 「・・・前回の戦闘で、見慣れないマシンを見た」

 テリー 「ああ、俺もだ。灰色の、だろ。数は少なかったが、梃子摺らせてくれたんで覚えてる」

 ケネス 「どうにも、ABCBが標準装備らしいな」

 ジーン 「ユニオン御用達のマシンだろうな。採集したパーツはGの機構に近い」

 テリー 「は。俺は楽するのが大好きなんだけどねぇ」

 ケネス 「同感だ」

 ジーン 「俺らにも楽させろってェの」


 AJ 「ところで、アベルと合流したとして、この先の目標攻撃ポイント・・・」

 ボッシュ 「アベルが賛同するか、と聞きたいのかな」

 AJ 「さすが艦長殿。お察しがいい」

 ボッシュ 「賛同はしないだろうな。・・・だが、アベルが出て行くような事態は避けたいな」

 AJ 「すまないね。そこまでわかってるなら、愚問だった」

 ボッシュ 「親心、ってヤツかい」

 AJ 「まさか。持ち駒を減らしたくないだけさ」


 アベル 「そろそろ、エリア内に・・・、ッ!?」

 アベル 「待ち伏せ!?」

 アベル 「見た事のない機体・・・、新型!?」

 アベル 「それでもっ!」


 ケネス 「おーお、見事に始まっちゃってるね」

 テリー 「あの坊主・・・、だろうな」

 ケネス 「単機で敵陣に突入なんて真似、アベル以外にいたら世も末だね」

 テリー 「は。出来てもやらねえよな、普通。テリー・カティアール、行くぜ!」

 ケネス 「ケネス、サイファー出るぜ!」


 アベル 「さすがに・・・っ! ッ!?」

 テリー 「へ。派手にやってんね」

 アベル 「テリーさん! ケネスさん!」

 ケネス 「よ。無事で何より、シャヒーナが待ってンぜ?」

 アベル 「茶化さないでくださいよッ」

 ケネス 「茶化したつもりはないケドね。さて。感動の再会のために、ちゃっちゃと終わらせるぜ!」

 テリー 「了解」


 フォルビシュ 「パーノッド派の拡大によって、セグメントはいつ崩壊するやも知れん。議会駐在軍も、一触即発の自体を察知して下手なアクションを起こせない。まして、こちらにはセツルメント降下という切り札を持っている」

 クブラカン 「これより、我々は地球への降下を開始します。くれぐれも、切り札は伏せたままに願います」

 フォルビシュ 「私に銃を向けた勢いは何処に行った? キレたお前さんほどの無茶はせんよ。安心しろ」

 クブラカン 「色々、その、申し訳ありませんでした。こんな事態に担ぎ上げてしまって・・・」

 フォルビシュ 「何とシケたツラだ。貴様もエクレシアのリーダーなら、もう少し役者を張れ。仮にもクブラカンだろう、馬鹿者が」

 クブラカン 「その・・・、俺・・・」

 フォルビシュ 「心配するな。貴様のお膳立てで、今さら寝返る場所などない。それより、ユニオンとの直接対決に集中しろ」

 クブラカン 「はい。ディープ・スロートから提供された情報は、最大限に有効活用します」

 フォルビシュ 「行け。そして、勝って来い」

 クブラカン 「了解であります、閣下! いくぞ、ミア!」


 アベル 「これで最後ッ!」

 テリー 「一件落着ってか」

 ケネス 「上出来! 帰還するぞ」


 アベル 「ジーンさんっ」

 ジーン 「よォ。お前さんの無事は信じてたぜ」

 アベル 「あの、ギルティの事で聞きたい事があるんですけど」

 ジーン 「あン?」

 アベル 「ギルティの駆動系って、JACが使われてるんですよね?」

 ジーン 「ああ、JAC兵器こそ積んでないが、操作補助には有効だ。俺にゃわからんが、お前さんなら乗っ取りも可能だろうよ。てェか、お前。マシンなんかより、先にするべき事があるだろ。ほら、愛しの君が待ってるぜ」

 アベル 「じ、ジーンさんっ」

 ジーン 「とっとと行ってこいっ」

 ジーン 「さてと。・・・って、何だこりゃ!? マシンの自動制御が20%だと!? い、今の戦闘、これで戦ってたのか!? アベルのやつ・・・」


 アベル 「あ・・・」

 シャヒーナ 「・・・アベル」

 アベル 「た、ただいま」

 シャヒーナ 「おかえりなさい」



アイキャッチ
アイキャッチ「G−GUILTY」


 ボッシュ 「ジーンから聞いたか?」

 AJ 「ああ。アベルのモンスター振り、知ってはいても、毎度驚愕させられる・・・」

 ボッシュ 「まあ、頼もしい限りだ。これから先、連中は確実に残存のGと兵力を集結させて来る」

 AJ 「イヴリン、パーチ、バーナバス、ザカリア。・・・そして」

 ボッシュ 「伝説の傭兵、エドガー・”ミーン・マシーン”か」

 AJ 「アベルの海洋駐留部隊壊滅も伝説の粋だろうが、エドガーはそれを既存の一般機でやり遂げてる。単純に比較は出来ないがね」

 ボッシュ 「生きていたとはな」

 AJ 「ケーラー博士・・・」

 ボッシュ 「ん?」

 AJ 「Gパイロットの一人が、エドガーのクローンだとしたらどうする?」

 ボッシュ 「戦うのは俺じゃない、と匙を投げるな。聞かなかった事にする」


地上に降り立ったエドガー一行の戦闘。

 兵士 「急げ! 撤収しろ! このベースは破棄する!」

 ザカリア 「へへっ! いいね! もっと抵抗しなきゃ皆殺しだぜ!?」

 エドガー 「いい調子だな、来るぞ」

 ザカリア 「わかってるって!」


 兵士 「すまん、コバヤシの爺さん・・・!」

 老兵 「わかってる。・・・しかし、この戦力差は埋められンなァ」

 兵士 「せめて、撤退の時間稼ぎだけでいいっ」

 老兵 「ああ。俺だって、タダ飯を食わせてもらってる礼ぐらいはしたい。及ばずながら、やらせてもらうさ」

 兵士 「頼んだ。爺さん・・・っ」

 老兵 「行くぞ。急げよ。・・・しかし、この強さ・・・」


 ザカリア 「っと、新手かい!」

 老兵 「そこのマシンのパイロット!」

 ザカリア 「あン!?」

 老兵 「随分と楽しそうだな。暴れたいなら、俺が相手になろう・・・」

 ザカリア 「何のつもりだァ? 上等・・・!」

 エドガー 「待て」

 ザカリア 「ッ!?」

 老兵 「”ミーン・マシーン” エドガー・パウエル、お前さんかい」

 ザカリア 「おっさん!?」

 エドガー 「古い知り合いらしいな・・・」

 老兵 「お前さんに適わんだろう事は承知だが・・・。仲間の、撤退までの時間、そっちの相方を止めてもらいたい。代償は、本気の勝負だ。退屈はさせんよ」

 兵士 「爺さん・・・っ!」

 エドガー 「ふん」

 ザカリア 「待てよオッサン! おっさんの知り合いなら、腕は立つんだろ? 俺にやらせろよ」

 エドガー 「好きにしろ」

 ザカリア 「悪ィけど、相手は俺だ。おっさんは手を出すな」

 老兵 「約束が守られるなら、どっちでも構わんさ」

 ザカリア 「いくぜ!」


 ルオ 「おや、お急ぎですか、クブラカン。いえ、ギルバート・ゲノックどの」

 クブラカン 「誰だ」

 ルオ 「議会軍の扱いでは、二度目の死亡による二階級特進で、今は大佐ですよ。もう、議会軍には戻れないでしょうから、クブラカンとして生きていくしかないでしょうが」

 クブラカン 「何の話か分かりかねる」

 ルオ 「とぼけても無駄です。私は、ルオ・ツォートン。R商会の幹部といえばご理解いただけるかな」

 クブラカン 「R商会・・・、そんなやんごとなき人物が、何故こんな所へ?」

 ルオ 「シャトルのチケットを取るには、あなた方の場合、少々違法な手段を取らざるを得ない。その網に、引っ掛かっただけの事です。本当なら、地球でコンタクトするつもりでしたがね」

 クブラカン 「そんな事を聞いているんじゃないっ!」

 ルオ 「ディープ・スロートたっての希望でね。あなた方に尽力しろ、と言われた」

 クブラカン 「ディープ・スロートの!? 馬鹿な! 彼はR商会とは手を組まないはずだ!」

 ルオ 「5年。ユニオン解体までの協力体制を取る事を約束に、今後5年間の不可侵条約を結んだ」

 クブラカン 「信用、できないな」

 ルオ 「まあ、今は信用しなくていい。ディープ・スロートに会えばわかる。・・・地球へ、降りるんでしょう? あなたに、会わせたい人物がいるんです」

 クブラカン 「なに?」

 ルオ 「本物のクブラカン」

 クブラカン 「本物の、だと・・・ッ」

 ルオ 「あなたには、そう。シャイロン・チェイ、と言った方がいいかな」

 クブラカン 「お前は・・・!?」


 ザカリア 「ちっ、やる!」

 老兵 「そうはいかんよ!」

 ザカリア 「面白えッ!」

 老兵 「これでも新人類と呼ばれた端くれだ! 簡単には!」

 ザカリア 「へっ、いいね! マシンの性能差がなきゃ、いい線いってたぜ!」

 老兵 「ぬうっ!」

 ザカリア 「けどなッ! てめえ程度に梃子摺ってる場合じゃァねェんだよ!」

 老兵 「く・・・。時間ぐらいは稼げたか・・・? なァ」

 ザカリア 「へっ、へへ」

 エドガー 「小僧。終わったなら、作戦を続けるぞ」

 ザカリア 「まだだ。まだだぜ、おっさん」

 エドガー 「ほう」

 ザカリア 「やらせろよ、おっさん・・・!」

 エドガー 「くっく。面白い・・・」

 ザカリア 「どらあァァァァッ!」

 エドガー 「楽しいな、小僧。もっと楽しませろ」


 兵士 「な、仲間割れ・・・? と、とにかく、この隙に撤収を急がせろ!」

 ザカリア 「おアあああっ!」

 エドガー 「大した自信だな。背中を撃てばチャンスもあったろうが」

 ザカリア (読める! おっさんの動き! やれる!)

 エドガー 「くっく」

 ザカリア 「オラああああっ!」

 エドガー 「ほう。随分と無駄が減ったな」

 ザカリア 「もらったァァァァ!!!」

 エドガー 「ッ!?」

 ザカリア 「やった!」

 ザカリア 「やった! 勝った!? おっさんに!? あのおっさんに!!」

 ザカリア 「って!?」

 エドガー 「喜んでる所を悪いが、チェックメイトだ」

 ザカリア 「・・・おっ、おっさん!?」


 ルオ 「御存知なかったとは意外ですが、ナディア嬢ともとも、クブラカンはユニオンの手先です。現在は、ナディア嬢も、あなたというクブラカンも完全な反体制側ですがね」

 クブラカン 「そんな事より、ディープ・スロートと組む事になった経緯が聞きたい」

 ルオ 「ユニオンという腐った大木を倒したいのは、彼も、あなた方も、我々も同じです。手を組むのは自然な事でしょう?」

 クブラカン 「ユニオンの代わりに、お前たちがのさばる事をディープ・スロートは望まない。違うか?」

 ルオ 「勿論です。しかし、我々がユニオンの次のターゲットに選ばれる事は面白くない。彼も、我々との全面抗争は避けたい」

 クブラカン 「それだけじゃないだろう」

 ルオ 「ええ。ユニオンを解体すれば、世界が荒れる事は必至。そうなれば、我々非合法組織の力に頼らざるを得ない」

 クブラカン 「ますます納得いかないな」

 ルオ 「でしょうね。ですが、我々だけでなく、私個人の利益ですよ」

 クブラカン 「なに」

 ルオ 「私は妾腹でしてね。今の内に手を打たねば、R商会を手に出来ないんですよ。我が一族にも色々ありましてね。・・・あなただからお話してるんです。くれぐれも内密に願います」


 ケーラー 「先に面白いニュースがある」

 エドガー 「ふん」

 ケーラー 「海洋部隊の戦闘機動兵器200を落としたらしい。・・・一機でね」

 ザカリア 「なんッ、200ぅッ!?」

 ケーラー 「エドガー、お前さんの伝説に肩を並べかねん成果だろう? 数の上ではお前さんを凌駕した」

 エドガー 「ハ。面白い」

 ケーラー 「それと、ザカリア。君の今回の功績は高く評価している」

 ザカリア 「こんなモン見せられた後じゃ、余計に納得いかねェな」

 エドガー 「くっく」

 ケーラー 「ところで、お前さん宛てに、ようやく例のものが届いた」

 ザカリア 「なっ・・・!」

 ケーラー 「ユニオンの技術の結晶・・・、Gをも屠る怪物”タイラント” お前さんの新しいマシンだ」

 ザカリア 「お、おっさん、てめえ! まさかコイツが届く事を知ってて!」

 エドガー 「さァな」

 ケーラー (最強の戦士に相応しい、最強のマシン。そいつをぶつけてこそ、私の目標は達成される・・・!)



次回予告

ナレーション 「セツルメントへの侵入を果たしたアベルを待ち受けていたのは、正規軍と絶望的な状況で戦うゲリラだった。ゲリラに残された希望は、予言の告げる救世主しかない。アベルはその救世主と成り得るのか。次回、『Gの再来』 Gの鼓動が、今目覚める」

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