ナレーション 「時に宇宙世紀256年。支配層と被支配層の争いは熾烈を極めた。もはや地球は眼下にある。だが、最大の障壁となるアリスタリウスを攻略せずして、アベルたちは地球にたどり着くことはない。ついに、その決戦の火蓋は切って落とされた」



タイトル

「流星の日(前編)」

− the day of shooting star I  −



アリスタリウス司令塔

指令 「いよいよか・・・。ここが正念場。連中の突破は許すなよ。作戦開始!」

兵士 「さ、作戦開始! 全軍に通達! 作戦開始!」

指令 「後ろに控えるセツルメント降下・・・。伝家の宝刀は抜かずに済ませたいな」

兵士 「・・・は、はい」

 


マトリックス陣営、G部隊。

ケネス 「いいか、今回も総力戦だ。奴らは本気でこっちを潰しに掛かる」

アベル 「はい!」

ケネス 「戦争ってのは物量戦だ。数がモノを言う。それを覆すのが・・・」

アベル 「僕たちの乗ってるGと・・・」

テリー 「は。敵さんのモンスター・マシンって訳か」

ケネス 「雑兵とGがぶつかり合えば、間違いなく無駄な消耗戦になる。泥仕合だ。それを避けるために、俺達も・・・」

テリー 「連中もG同士をぶつけるつもりだろうな」

アベル 「だとすると、ザカリア、イヴリンさん、パーチさん、バーナバスさん、ミアやエナも・・・、それに、ブレイズとサテュロス・・・」

頭の中にエドガーがちらつく。

アベル (それだけじゃない。あの時のパイロットも・・・)

テリー 「は。少なくとも、2対1でやれッてコトか。絶望的だね」

アベル 「でも、負ける訳にはいきません」

ケネス 「そう言うコトだ。それと、忘れるな。目的はあくまでアリスタリウスの破壊。Gの破壊じゃない。倒せるに越したコトはないがな」


オデッセイア

キャロライン 「なんですって!?」

ダニエル 「今言った通りです。Dr.ケーラーが、カインとザカリア、エドガーを連れて地球へ降りた模様です」

キャロライン 「なんて・・・、ケーラー! あの男!」


ケーラー、ザカリア、エドガーが小型艇で離脱している。
真剣な面持ちのザカリア。愉しんでいるエドガー。
そして、不敵なケーラーの表情。


ダニエル 「主力2人を失ったのは痛い誤算ですよ。・・・でも、今は文句より、眼前の戦闘に集中してください」

キャロライン 「わかってるわ。配置変更を伝えて。イヴリン、バーナバス、パーチ、オルダスを最前線へ。防衛に2機がいると思わせなさい」

ダニエル 「了解。G全機は最前線で敵のGを叩け! 連中は固まって来るはずだ。分断して個別撃破。いいな。とにかく、すばやく1機でも墜とせ」


オデッセイア・デッキ

バーナバス 「簡単に言ってくれる。・・・スレッジ、出るぞ!」

パーチ 「この機体まで最前線ね。・・・かえってバレなきゃイイけど。・・・パーチ、出る!」

オルダス 「ま。馬鹿餓鬼が消えたのは総合的にプラスなんじゃないかね」

イヴリン 「その意見には賛成だわ。・・・狙い目はヴォーテックス、か。クロスボウ、出ます!」


戦闘区域

ケネス 「来なすった! ・・・初手はブレイズか」

オルダス 「へっへ。数の上ではこっちが有利。だとするとそっちはチームプレイが前提だろ? なら、分断させてもらう」

アベル 「割り込んでくるの!?」

オルダス 「思うようにはさせないってね」

アベル 「遠距離射撃! パーチさんか!」

パーチ 「当てるつもりで撃ってるんだけどね。自信なくすぜ」

アベル 「速度なら! 僕が前に出て支援機を封じます!」

ケネス 「出過ぎンじゃねえぞ! 連中だって馬鹿じゃねえっ!」

アベル 「わかってます!」

バーナバス 「そーぅら、予定通りだ。アベル! お前は前には行かせねえよ」

アベル 「バーナバスさん!」

バーナバス 「お前がバケモノなのは認めるよ。だがな。俺の猛攻とパーチの狙撃を相手に・・・」

アベル 「くっ!」

パーチ 「また避けた」


ケネス 「チョロチョロと!」

オルダス 「幸いなコトに、今回は馬鹿上司が出てなくてね。邪魔は入らない。過去の因縁にケリを付けさせてもらう」

ケネス 「イイぜ。お前の負けってコトで」

オルダス 「おやおや。意見が分かれたな」


テリー 「ちっ! しっかり分断されたかよ! 進めるのは俺だけか!」

イヴリン 「生憎だけど、進ませないわよ」

テリー 「は。やっぱり甘くはねえか」


マトリックス・ブリッヂ

ボッシュ 「Gが封じられるとなると・・・」

クルー 「厄介ですね。物量じゃ勝ち目がありませんし」

ボッシュ 「ま。今は戦況の心配より、こっちの戦闘に集中した方が良さそうだな。Gのエスコートがない以上・・・」

クルー 「右舷、来ます!」

ボッシュ 「砲座! 張り付かせるな! 多少の無駄弾は許す! 撃ちまくれ!」


テリー 「は。周りの戦闘さえなきゃ、もうちっと近付けそうなモノを!」

イヴリン 「この乱戦の中だと、ヴォーテックスじゃ思うように動けないでしょ」

テリー 「ちっ、マシン形態でちまちま進むしか・・・」

イヴリン 「はん。思うツボよ」

テリー 「は。止まれば狙撃の対象か。厄介だね」


戦闘区域を外れた宇宙空間。

ケネス 「あっちゃー、見事に・・・」

オルダス 「一人になったな」

ケネス 「オルダスよぅ、しばらく見ない内に、性格歪んだんじゃねえ?」

オルダス 「何しろ閻魔様直伝だからな。・・・ケネス、お前の戦い方は封じさせてもらった」

ケネス 「まずいね。障害物もない空間で超高速機が相手かよ・・・」

配置したJACからブレイズを狙っての攻撃。だが、

オルダス 「残念。遅かったな」

ケネス 「あれでも遅いのかよ」

オルダス 「またまた残念」

ブレイズの動きが速く、カスリもしない。

ケネス 「もっと早く撃てばッ」

オルダス 「配置がバレちゃうンだな」

難なくかわすブレイズ。

ケネス 「ターンの瞬間ならっ」

オルダス 「ずらせば済む」

当たらない。

ケネス 「くっ・・・」

オルダス 「何度もやっても同じさ」

ケネス 「撃ちっ放しでも、遅いんじゃ話にならねえ、か」

オルダス 「お前のJAC配置は誉めてやるが、俺の反応速度にゃ適わないンだよ。まして、こっちの攻撃を避けながらじゃ、な」

ケネス 「お次は連射!」

オルダス 「立体じゃない攻撃ならかわせるさ」

ケネス 「へへ。参ったね・・・。どうする?」


テリー 「どうするったってなあ・・・」

イヴリン 「とっとと墜ちなさいよ」

テリー 「ま。こっちが思うように動けないってぇのなら、やっこさんも同条件。・・・気長にやらせて貰うさ」

イヴリン 「焦って飛び込むほどの馬鹿じゃナシ・・・か! ッ!? 逃げるの!?」

テリー 「は。生憎と俺は雇われの身なんでね。命を賭けてまで戦う気はない」

イヴリン 「コイツっ! 周囲の戦闘を盾に・・・」

テリー 「勝てない相手なら、勝てないなりに戦い方もあるってモンだろ?」

戦闘中のマシンの間に割って入るヴォーテックス。

イヴリン 「逃がすもんですか! ・・・ッ!」

テリー 「おやおや。慌てると、味方機を撃破しちゃうぜぇ」

イヴリンが議会軍機を破壊する。


アベル 「ミサイ・・! 時間差攻撃!?」

パーチ 「ちっ。こうも回避されると・・・。バーナバス! あと0.2秒でいい! アベルの足を止めろ!」

バーナバス 「お前が止めろッてよ! こっちはバケモノと直で戦ってンだぞ!」

パーチ 「こっちが直に戦ってないと思ってるのかね。ほら来た。・・・バーナバスの回避を予測してまとめて攻撃・・・。狙いは付けさせないって訳ね」

バーナバスの回避したビームがパーチを狙う。

バーナバス 「パーチ!」

パーチ 「わかってる」

アベル 「!? 何処を撃って・・・。 ッ!?」

パーチの放ったビームが曲がる。

アベル 「ビームが曲がるの!?」

アベル、ディバイダーのシールドで防御。

パーチ 「今のを止められるとはね・・・」

バーナバス 「わかっちゃいたが・・・!」

パーチ 「予測以上のバケモノだよ。アベル」



アイキャッチ
アイキャッチ「G−GUILTY」


イヴリンの攻撃が議会軍機を破壊。

テリー 「は。お見事。オウンゴール4点目」

イヴリン 「イラつくわ・・・アンタぁ」

テリー 「は。ごめんな。失点2」

エクレシア機が破壊される。

イヴリン 「チョロチョロとォッ!」

テリー 「オウンゴールっと!」

イヴリン 「ムカつくのよ、アンタッ!」

イヴリン、粒子砲一斉掃射。

テリー 「ぉぃぉぃ、マジかよ・・・」

イヴリン 「はぁッ・・・はぁッ・・・」

議会軍機諸共エクレシアも破壊するが、ヴォーテックスは回避している。

テリー 「得失点・・・不明?」


ケネス 「正攻法で撃ったんじゃ、シールドが防ぐ。アンブッシュは当てられない・・・」

オルダス 「さあ、得意のJAC戦法は通じないぜ」

ケネス 「言っとくけど、俺、JACの扱いは得意じゃないんだわ。だから良い場所に配置するのが得意なだけで・・・」

オルダス 「また何か小細工か?」

ケネス 「最後の悪あがきってヤツ?」

オルダス 「このブレイズに当たるかよ!」

ケネス 「ところが・・・、当たるんだな」

ブレイズのコース上にJACそのものが配置してある。

オルダス 「なにッ!? JACをぶつけッ!?」

ケネス 「言っただろ、配置が得意だって」

ブレイズ、JACを弾き飛ばし、損傷を受けながらも止まらない。

オルダス 「やってくれるッ・・・! が、障害物程度じゃ致命傷にゃならなかったようだな」

ケネス 「さっすがプロ。俺も保険をかけておいてよかったよ」

オルダス 「C−JACだとォッ!?」

サイファーが既に放っていたC−JACのワイヤーがブレイズの翼に絡んでいる。

ケネス 「お魚は網の中ってね」

引っぱられながら真後ろから攻撃するサイファー。

オルダス 「くっつかれたッ!」

ケネス 「いただき! これで、逆〜転〜」

メインノズルの右を撃破されるブレイズ。だが、ワイヤーは切り離す。

オルダス 「くそっ! まさかっ! 右翼が!」

ケネス 「ブレイズの機構じゃ、片翼で翔べないだろ」

オルダス 「無重力なら何とでも翔べるッ」

オルダス、そのままアリスタリウス側に逃走。

ケネス 「往生際が悪いね。・・・羽根をもがれた小鳥さんとはいえ・・・、逃がす訳にはッ!」

オルダス 「ふン。往生際が悪いから死に損ねたンだよ」


パーチ 「いつまでその集中力が続くか・・・と言いたいところだけど・・・」

バーナバス 「こっちの集中力も続かねェってか」

アベル 「このままじゃ埒があかない・・・! パーチさんの攻撃が止まった!? 何処!?」

パーチ 「バーナバス! 合わせろ!」

バーナバス 「応ッ!」

スレッジ、ビーム、続いてミサイルを一斉掃射。

アベル 「来るッ!」

ミサイルの雨を切り抜けると同時に、アーバレストの一斉掃射が襲いかかる。

パーチ 「チェック」

爆煙。

バーナバス 「当たったッ! ・・・だけじゃァな」

爆煙の中から、DRESSを発動させ光になったギルティが抜け出す。

パーチ 「そういや、そんな切り札が残ってたっけ」


DRESSで突き抜けるアベル。

アベル 「よし! このままアリスタリウスを墜としに・・・」


パーチ 「ちっ。バーナバス、追うぞ」

バーナバス 「鈍足のお前が言うな。行くぞ」


アリスタリウスに進入するブレイズ。それを追うサイファー。

オルダス 「付いて来い・・・、良い子だ」

ケネス 「アリスタリウスに逃げ込んで・・・、ちッ、援軍待ちって訳か? いや、それにしちゃ内部に潜り込むか? フツー」

オルダス 「援軍が来ないことは自軍が一番知ってるさ」

ケネス 「悪いが、追い詰めたぜ」

通路の行き止まりにブレイズを追い詰めるサイファー。

オルダス 「はン。観念したよ」

オルダスの顔が脳裏を過ぎる。

ケネス 「昔のよしみだ。・・・逃げな。その代わりにブレイズは・・・」

オルダス 「それがな、逃げられねンだよ。ブレイズが俺なんだ」

コックピットハッチを開けるオルダス。

ケネス 「なんッ」

オルダス 「見ての通りだ。俺はこうする事でしか生きてられない亡霊なンだよ」

ケネス 「あれまあ、気の毒な姿にされちまって・・・。モテねえだろ」

オルダス 「お前がやったようなモンだがな?」

ケネス 「やけに、俺にこだわると思ったら・・・。悪いね。そんなお前の思いを遂げさせてやれなくてな」

オルダス 「気にするな。この身体になってからは女も抱けやしねえ。戦闘だけが俺の生き甲斐・・・、いや、死に場所だ」

ケネス 「二度もお前を殺すなんてな。因果なモンだ」

オルダス 「ああ。しっかり破壊しろよ。でないと、また化けて出る」

ケネス 「地獄で美女と会えるように祈っとくよ」

サイファーがブレイズを破壊する。


ケネス 「・・・追うのに必死で気付かなかったが・・・」

ケネス 「本丸近し・・・、粋な計らいじゃねえか、オルダス・・・」


アリスタリウスに近付くギルティ。それを追うスレッジ。

アベル 「アリスタリウス!」

バーナバス 「やらせるかッ!」

アベル 「もう追ってきたの!? ・・・ううん。あの2機を残しておいたらパワーバランスが崩れる。追ってきてくれたのは正解だ」

バーナバス 「そのDRESS唯一の弱点は・・・」

アベル 「くっ!」

バーナバス 「スカートの中ってこった!」

パーチ 「変態か?」

アベル 「っ! DRESSの効果が薄い・・・! 追われる側だと弱点をさらけ出してるようなもんじゃないか」

バーナバス 「・・・とは言え、あの機体にはそうそう当てられないってか」

パーチ 「それに、DRESSの効果がゼロって訳じゃない、か。遠すぎる。このアーバレストの足じゃね」

アベル 「くっ、何とか逃げ切れ・・・」


オデッセイア・ブリッヂ

キャロライン 「やってくれるわ。易々とGの接近を許すなんて・・・」

ダニエル 「易々って訳じゃありませんよ。戦況自体はこちらが押してます。どうにかGを・・・」

キャロライン 「戦況どうこう言ってる場合? 本丸を落とされたら負け戦よ」

ダニエル 「じゃァどうしろッてんです!? 援軍が来ない以上、Gのパイロットに委ねるしか・・・ッ」

キャロライン 「そうかしら?」

ダニエル 「へッ・・・? 何か手立て・・・、まさか・・・」

キャロライン 「落とされるぐらいなら、伝家の宝刀を抜くべきじゃない?」

ダニエル 「ちょっ、艦長・・・ッ!?」

キャロライン 「アリスタリウス司令塔に通達。衛星レーザーの照準を戦場に向けるように」

ダニエル 「みっ、味方もいるんですよ!? 半数以上がわ・・・」

キャロライン 「二度言わせないで」

ダニエル 「・・・あ、アリスタリウスに通達。衛星レーザー準備。照準は、せ、戦闘エリア・・・」

キャロライン 「アリスタリウスが落ちれば負け戦は確定。敗残兵も補給を受けられないわ。そうでしょう?」

ダニエル 「しゃ・・・射出方向の指示を、願います」

キャロライン 「方向は11時、E−14でいいかしら」

ダニエル 「射出方向は11時。エリアE−14」


アリスタリウス司令塔

兵士 「射出方向11時。え、エリアE−14・・・です」

指令 「やれと・・・言うのか・・・、敵味方を問わず・・・」

兵士 「ど、どうしますか?」

指令 「射出方向11時。エリアE−14。我々の仕事は上層部の決断に従うことだ。責任は上が取ってくれる・・・!」

兵士 「は、はい。射出準備! 方角は11時。E−14」

 


バーナバス 「ぉぃぉぃ」

パーチ 「・・・アリスタリウスが動いた?」


アベル 「アリスタリウスが・・・!」


ケネス 「撃つ気か・・・!」


アベル 「と、止めないと! 撃たせるわけには・・・!」



次回予告

ナレーション 「ついにアリスタリウスの攻防は始まった。全てを薙払う神の雷は放たれるのか、それとも阻止できるのか? そしてその傷も癒えぬまま、また新たなる悪夢が、アベルの前に立ちふさがるのだった。次回、『流星の日(後編)』 Gの鼓動が、今目覚める」

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送