AJ 「・・・地球の、誰も知らない街で、2人で静かに暮らそうか・・・」

キャロライン 「逃亡・・・? あの人が・・・?」

イブレイ(通信) 「そうです。ダグラスは、組織を! そしてあなたを裏切った!」

AJ(通信) 「聞こえ・・るか!? こちらはアレックス・ダグラス。アンセスターへの亡命を乞う・・・! 土産は最新のGだ! 繰り返す! こちらはアレックス・ダグラス! アンセスターへの亡命を乞う!」

ボッシュ 「ぉぃぉぃ、こいつァ、罠か?」

バーナバス 「抜かさせねェさ」

AJ 「・・・まだ、終わる訳には・・・いかんのだ・・・。もってくれよ・・・」



タイトル

「女王 降臨」

− A Queen's Advent −



オデッセイア、デッキ。AJ逃亡のためか、警報が鳴りやまない。

カイン 「あっは。まさか、あの人に脱走する根性があるとは思ってなかったなァ。僕の機体を持ってったのは大弱りだけど・・・」

イヴリン 「うるッさいわねぇ」

カイン 「なに? ダグラスさんに同情?」

イヴリン 「警報の話よ」

吐き捨てて、マシンに乗るイヴリンとパーチ。

パーチ 「は・・・。全く、騒がしい事だ」


同ブリッヂ。

イブレイ 「スレッジで足止めはしてる! クロスボウとアーバレストの出撃を急がせろ!」

キャロライン 「・・・・・・」

イブレイ 「・・・そろそろ、眼が覚めましたかな」

キャロライン 「・・・ええ」

イブレイ 「なら、結構。・・・デッキ! まだか!?」


デッキ。

イヴリン 「今出るわよ。・・・ハッチオープン、どーぞ」

クルー 「発進・・・どうぞ!」

イヴリン 「・・・クロスボウ、出るわよ」

パーチ 「アーバレスト、出るぞ」


カイン 「まいったな。誰も機体貸してくれないや。アサルトが戻るか・・・、月まで我慢するか・・・」


ブリッヂ。

イブレイ 「あなたが・・・、ダグラスを逃がした件についての追求は・・・、しません。・・・だがダグラスの、最高機密を奪っての脱走には弁明の余地もない。このまま撃墜したとて、怨まないように願いたい」

キャロライン 「承知・・・、しています」

イブレイ 「いいでしょう。・・・索敵班! マシンの破壊が確認出来次第、そのまま海賊に追撃を掛けるぞ! 情報は漏らさず報告しろ!」


宇宙空間。戦闘区域。

バーナバス 「うおらァッッ!!」

AJ 「さすがに・・・、かなり・・・ッ」

バーナバス 「手応えはあるがッ・・・! さすがにお姫様のドレスは簡単に脱がせられネエってかよ!」

AJ 「抜けた・・・のか?」

機体に損害を受けながらも、バーナバスの猛攻を突破するAJ。


アサルトの光を見つける、先行したハインツ。サイファーはまだ後方にいる。

ハインツ 「来たァッ! 例の金ピカ野郎ッ!」

ケネス(通信) 「ハインツ! わかってるな!? 罠かも知れんが手は出すな!」

ハインツ 「Ok! 後ろの雪ダルマをやってやるッ」

ケネス(通信) 「落ち着け。今はその最新型ってヤツを回収して後退しろッ」

ハインツ 「だけど、光ったままじゃ回収も出来ねーよ」

ケネス(通信) 「エネルギーが切れるまで待って後退するんだ。ダルマさんは俺が抑える。俺が着くまで持ちこたえろよ」

ハインツ 「誰に向かって言ってンだよ、ケネス! 俺は・・・」

スレッジの攻撃がハインツの言葉を遮る。

バーナバス 「ヘェイ! ヴォーーテッーークスッ! ついでにその機体も返してもらうぜェッ」

ハインツ 「はンッ! その機体を奪われるとは思わないのかよッ!」

バーナバス 「Gの2体も回収すりゃ、お手当も弾もうってモンだぜ」

ハインツ 「こいつッ! 火力がヴォーテックス以上かっ!?」

バーナバス 「戦艦並の火力はお前サンの専売特許じゃァないってこった」

ハインツ 「機動力ならッ」

バーナバス 「逃げるのかぃ? だったら、本丸を狙うまで・・・!」

ハインツの回避とともにターゲットがアサルトに替わる。

ハインツ 「うあっ、・・・くそっ」


アサルトのコックピット。

AJ 「意識が飛ぶ、か・・・ッ! DRESS・・・解除・・・ッ」

アサルトを包むエネルギー壁が消失。

バーナバス 「い〜いタイミングだ。・・・貰ったッ!」


後方から来たサイファーがシールドでスレッジの攻撃を受ける。

ケネス 「させるかいッ!」

ハインツ 「ケネスッ!」

ケネス 「ハインツ! アサルトを収容しろ!」

ハインツ 「わ、わかった!」

バーナバス 「ちいっ!? ケネスッ! 裏切り者同士で乳繰り合おうってか!?」

ケネス 「おっさんと乳繰り合う趣味はねえんだわッ!」

バーナバス 「だったら、ダグラス元長官は返してもらうぜッ!」

ケネス 「元長官? ・・・へへっ、お前アレか? 要らなくなったモノを人にやった途端に恋しくなるタイプ・・・」

バーナバス 「はンッ、そんな軽火器でこの装甲が落ちるかい!」

ケネス 「だったら、その装甲・・・! 素っ裸に剥いでやらぁ!」

ケネスの攻撃もスレッジの装甲の前にはほぼ効果がない。

バーナバス 「やる・・ッ!」

ケネス 「ちっ、ガードの堅いお嬢さんだこと・・・!」


アサルトをハンガーに引っ掛けて帰投するヴォーテックス。

ハインツ 「おい、パイロット! 聞こえてるか? ・・・ちっ、仕方ねえなあ・・・」

AJ 「う・・・っ」

ハインツ 「これで・・・運び込んだ瞬間に爆発なんて事は・・・、勘弁だぜ・・・」

ハインツ 「一応、生体反応はある、か。人間・・・。自爆ッてのだけはしてくれるなよ・・・ッ」


マトリックス。ブリッヂ。

アベル 「戦況はどうなってるんです?」

ボッシュ 「ハインツが回収に成功したらしい。現在は帰途にあるが・・・まずいな」

アベル 「こっ、後方・・・ッ」

ボッシュ 「オデッセイアから後続だ・・・。いくら何でも、ケネス1人じゃどうにも・・・、おい! アベル!」


ブリッヂを抜け出して走るアベル。

アベル 「・・・マシンさえあればッ」


カタパルトデッキ。アサルトを引っ掛けたヴォーテックスが着艦する。

ジーン 「着艦オーライ! ワイヤー掛けろ! 冷却急げ! 重力はいい! 酸素はすぐに戻せよ!」

ハインツ 「くう、やっとこ到着・・・」

ネットに絡められて停止する2機。

ジーン 「ヴォーテックスの装甲補強急げッ! その間に可能な限りチャージだッ! こっちの機体もだッ! 心配すんな! 同じGなら基本ストラクチャは変わらねえよ」

ハインツ 「急いでくれよッ、ケネス1人じゃ心許ないからな!」

ジーン 「よく言うよ。・・・さて。出られるかい? ダグラス長官?」

コックピットを開けるジーン。中からのろのろと出てくるAJを抱きかかえる。

AJ 「ドレスの下の矯正下着がキツくてね。・・・肋骨でも折れたかな」

ジーン 「罠にしちゃ、満身創痍だな。それとも名演技ってェか」

AJ 「・・・ふう。名演技なら君の方だろう。・・・まさか、メカニックにスパイがいるとは思わなかったよ」

ジーン 「俺も、あンたがグレイゾンを抜けるとは思いませんでしたよ。まだ信用出来ないンでね。拘束させて貰いますよ。悪く思わンで下さい」

パイロットスーツを着たアベルが、アサルトのコックピットに近付く。

AJ 「・・・アベル」

アベル 「・・・マシン、借ります」

AJ 「ああ。君なら乗りこなせる」

アベルはAJに一瞥をくれて、コックピットに入る。

ジーン 「全員、スーツ着てるな? 重力制御オフ! ハッチ開け! 各員、マシンから離れろ!」


ヴォーテックスが先に発進する。

ハインツ 「よぉーし、これだけチャージ出来れば充分・・・。行かせてもらうぜ。ハインツ! ヴォーテックス! 出る!」


アサルト、コックピット。

アベル 「操縦系統はソードケインとほとんど同じか・・・。これなら・・・何とか・・・」


AJ 「・・・立った・・・な」


アベル 「アベル! 出ます!」

カタパルトから射出されるアサルト。



アイキャッチ
アイキャッチ「G−GUILTY」


スレッジとサイファーの戦闘。若干ながら不利なのはスレッジに見える。

バーナバス 「アサルトを逃がしたのはイイが、2対1を捨てたのは失策だな」

ケネス 「そうでもッ、ねえよッ」

バーナバス 「おおっとォッ! 戦闘しながらコッソリ後退とは恐れ入るぜ・・・。相変わらず、お前サンはエースだよ・・・」

スレッジ、退路を塞ぐように回り込む。

ケネス 「ちぇ、気付かれたか。・・・撃墜だけがパイロットの腕じゃねえってな」

バーナバス 「だが、ここまでだ。もうじき、アーバレストとクロスボウが到着する・・・! そうなれば・・・」

ケネス 「くっ、退路を塞がれちゃ・・・」


後続のクロスボウとアーバレスト。

イヴリン 「前方に戦闘の光を確認。行くわよ、パーチ」

パーチ 「ああ。・・・まだ弾の届く距離じゃない」


アサルトのコックピット。

アベル 「マニュアル・・・。ヘルプ。これが・・・、例のシステム・・・。・・・できる?」

アベル 「・・・DRESS発動!」

アサルトが障壁の光を放つと同時に、猛加速する。


ハインツ 「くっ、間に合えよ・・・、ッ!?」

飛行形態のヴォーテックスを一瞬で追い越すアサルト。

ハインツ 「えっ? あ? アベル?」


戦闘中のスレッジとサイファー。

バーナバス 「つくづく・・・! だがそれもコレでッ!」

ケネス 「へへ。援軍が来るのは、お前サンだけじゃなかったらしいぜ」

猛スピードでスレッジの攻撃を阻むアサルト。

バーナバス 「アサルトッッ!? 何だとォ!?」


後退して態勢を整えようとするスレッジを、ヴォーテックスのビームが襲う。

ハインツ 「俺を忘れンなよ!?」

バーナバス 「コイツぁ・・・、さすがにッ」

ケネス 「・・・は。これじゃ、援軍が来ても3対3、だぜ」

アサルトの光がどんどんと幅を狭めてバーナバスに迫る。

バーナバス 「へッ! DRESSを使ってこの動き・・・! アベルかッ! ちいっ!」

アベル 「慣れてないんです! 手加減できませんよ! バーナバスさん!」

バーナバス 「言ってくれるぜ、ボウズ! こっちだってABCBが・・・ッ! ・・・何!?」

スレッジを真正面の位置に移動させ、ABCBを集中放火するバーナバス。

だが、アベルはアサルトを回転させてABCBを物ともしない。


AJ 「相手が抗ビーム弾を使ったところで、真正面から当たらなければ、DRESSは貫けんよ」

ジーン 「相変わらず子供みたいな発想でマシンを作らせる男だよ。アンタは」

AJ 「ロマンがあると言ってくれ」


アサルトのDRESS継続に、応急処置した箇所が幾つも爆発するが、アベルはそのままスレッジに突進させる。

アベル 「いああっ!」

バーナバス 「よぉっ! ジョークが過ぎるぜェッ!」

爆発とともに弾き出されるスレッジ。

アベル 「・・・やったの!?」

だが、爆煙の中からはアーマーを解除したスレッジが弾幕を張りながら後退しつつ、照明弾を撃つ。

バーナバス 「へ・・・、フルアーマーじゃなかったら、確実に死んでるね、こりゃ。・・・離脱させてもらう」

アベル 「逃げる!?」


照明弾の光を見たイヴリンとパーチ。

イヴリン 「信号弾!? 撤退しろっての!? 何事よ!?」

パーチ 「そりゃ、バーナバスがドジったんだろ」

イヴリン 「アサルトと、長官は・・・敵の手に落ちた・・・と」

パーチ 「そーゆーコトかね」

イヴリン 「ここまで来て・・・ッ!」


アサルトとヴォーテックスが後退するスレッジを追おうとする。

ハインツ 「逃がすかよッ!」

ケネス 「アベル、ハインツ! 追うな! 後方には敵機が待ってる!」

アベル 「あ、は、はいっ」

ハインツ 「くっ・・・、でもさ・・・」

アベル 「ハインツさん、帰投しましょう。このマシンもかなりの損害を受けてます・・・」

アサルトのモニターが、各所の警告を告げている。

ハインツ 「ちっ、しゃあねえなあ」


離脱したスレッジ。迎えるクロスボウとアーバレスト。

バーナバス 「総力戦なら、まだ先はあるさ・・・」

パーチ 「よ。敗残兵」

バーナバス 「かあっ、・・・お前らの到着が遅いンだよ」

イヴリン 「砲台2機に言われてもね・・・」


帰還するサイファー、ヴォーテックス、アサルトを収容するドック。

ジーン 「はああ・・・。何のと言えど、アサルトも結構な破損だぜ・・・。これだからパイロットってのは・・・」

ジーン、ドックに佇む破壊されたソードケインを見る。

ジーン 「ふン。・・・G同士のパーツなら・・・ある程度は流用できるか・・・」


マトリックス、デッキ。

ボッシュ 「まだ拘束は解きませんが・・・、とりあえず、あなた自身にも機体にも、危険物は無いと判断しますよ。AJ・ダグラスさん」

AJ 「では、アンセスターへの亡命は認めてくれる訳だな」

ボッシュ 「信用した訳じゃありませンがね。・・・本心も目的も明かす気はないンでしょう?」

AJ 「グレイゾンでの出世を諦めて、君らに賭けてみようと思ったのさ。ロマンティックだろう?」

ボッシュ 「キナ臭い事この上ないが・・・、あんたの持ってる情報は欲しいのは事実だ・・・」

帰還したアベルが割り込んでくる。

AJ 「・・・やあ、半年振りぐらいかな、アベル」

アベル 「・・・くっ!」

AJ 「少し、背が伸びたか」

そう言った瞬間、アベルが踏み込んでAJを殴り飛ばす。

アベル 「父親面しないでくださいっ! 僕はっ! あなたがっ!」

AJ 「確かに、そろそろ反抗期かな」

AJは平然と体勢を立て直す。

アベル 「あなたはっ! 地球に奥さんとお子さんまでいて! それなのに、キャロラインさんまで裏切って! あなたは一体ッ!」

AJ 「子供だな、アベル。やり方の是非は問題じゃない。成し得た事だけが正しいんだ」

アベル 「AJッ!」

もう一度殴ろうとするアベルを、後方からケネスが止める。

ケネス 「落ち着け、アベル。相手は怪我人だ。完治してから好きなだけ殴れ」

ハインツ 「治ってたらイイのかよ」

アベル 「ケネスさんッ! 僕はッ!」

ケネス 「じゃァ、子供なアベルに替わって、オトナな俺が言うよ。・・・俺達もやり方の是非は問わないからな。相手がどんな悪党でも・・・歓迎するぜ、『くそったれ野郎』」

AJ 「・・・やれやれ。・・・手厚い歓迎に感謝するよ。ケネス・ハント」


オデッセイア、ブリッヂ。

イブレイ 「くそっ、拿捕ならまだしも、破壊にも失敗して、おめおめ帰ってきたなど・・・」

キャロライン 「・・・文句を言う前に、対策を願います。イブレイ長官」

冷たく言うキャロライン。後ろにいるダニエルが慌てた表情をする。

イブレイ 「だいたい、ダグラスなどという男を・・・」

キャロライン 「聞こえませんでしたか? 必要なのは、文句ではなく、指示命令を告げる口です」

狼狽するダグラス。ダニエルも何かを言いかけて口を噤む。

イブレイ 「ぐっ・・・、わ、私は本作戦の指揮権を与えられているんだぞ」

キャロライン 「おっしゃる指揮権とやらが、どれほどの権限かわからないほど、あなたは低脳なのかしら? イブレイ長官」

イブレイ 「む・・・、私は・・・ッ! ぐッ」

キャロライン 「海賊の退路は判明していますから、前方のセグメント艦側へ追い込むように追撃を掛けます。よろしいですね?」

イブレイ 「くっ、どういう・・・」

キャロライン 「・・・もう一度問います。あなたの権限とやらがどれほどのものか、ご理解頂けてらっしゃいますの?」

イブレイ 「私は・・・、わ・・・、わ・・・、わかった・・・」

縮こまるイブレイ。

キャロライン 「結構です。直ちに追撃態勢と、マシンの整備を。それと、エドガー・パウエル、ザカリア・カウフマンの合流が速やかに行える位置の計算を」

イブレイ 「わ、わかった」

キャロライン 「Gシリーズ4機とエドガー・パウエルで討伐部隊を編成。前方の艦と連携して、何としても海賊の地球圏入りを阻止します。・・・いいですね、イブレイ・・・長官」

イブレイ 「くッ」

キャロライン、イブレイに一瞥。驚くダニエルにも一瞥をくれてから、モニターを見つめる。

キャロライン 「・・・アレックス・・・。運に見放されたあなたは牙を剥いたわ・・・。だったら、あなたに見捨てられた私も牙を剥く・・・。それで帳尻合わせ・・・。よくある愛情の終わりなんて、こんなものかしら・・・」


次回予告

ナレーション 「前方に待ちかまえるセグメント艦隊。後方から追跡するオデッセイア。アベル達に残された道は強行突破しかない。だが、想像を絶する狭き門に、アベル達は苦戦を強いられる。次回、『狭き門』 Gの鼓動が、今目覚める」

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