ケネス 「この要塞をどうにかする必要があるな」
キャロライン 「破壊とは言っても、この質量の要塞を破壊するのは不可能よ。目標は、ウェイブビームの動力装置のみ」
バーナバス 「連中だって、そんな事は予測済みだろうよ。突破できるのか？」
ケネス 「忍び込んで、内部からやるしかねェな」
アベル 「内部から叩く！」
ケネス 「うわっ！ っと、何処の馬鹿だよ！？ 自分の艦に風穴空けやがッ・・・！？」
アベル 「サイファー！？」
ケネス 「ソードケインだと！？」
タイトル
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− Citadel of chaos II − |
ナレーション 「宇宙移民者と地球の間に作られた和平は、そう、長くは続かなかった。時は宇宙世紀２５５年、１１月。セツルメント降下という忌まわしい事件を期に、体制派連合軍と反体制派バルバロイは全面戦争へと突入する。だが、多くの犠牲者を出したこの大戦の真相を知る者は、あまりにも少なかった」
ナレーション 「最重要航路に鎮座する要塞オケアノス。その攻略に身を乗り出したのは、アベル達だけではなかった。ケネスたち海賊アンセスターもまた、要塞への潜入を果たしていたのである。同じ目的を持つアベルとケネスに、共闘の可能性は残されているのだろうか？」
鍔迫り合いするソードケインとサイファー。
アベル 「どうしてあなたが！ こんな所で！」
ケネス 「なんでまたガキと会っちまうかな！？」
アベル 「今度は撃つって言いました！」
ケネス 「馬ッ鹿野郎！ 要塞の中で撃つなよ！ いやっ、撃ってもいいンだけどよッ！ これじゃ内部なら撃ってこないって算段が・・・ッ」
アベル 「そっちの都合なんかッ」
アベルの背後に敵機。
ケネス 「落ち着け！ 後ろ！」
アベル 「あなたこそッ！」
ケネスの背後に敵機。
アベルとケネスが撃ち合うが、ともに、破壊したのは背後の敵機。
ケネス 「はン。お前・・・コイツを破壊しに来たって訳か」
アベル 「あなたはその邪魔をするつもりなんでしょう！？」
イヴリン 「行かせないわよッ」
ミア 「やっだあ。機動力、あっちの方が上！」
エナ 「もう一機いるわよ」
パーチ 「ちぇ、気付かれた」
イヴリン 「パーチ、しっかり援護してよッ！？」
パーチ 「いいのかね、こんなマシンに足止めされちゃって・・・」
イヴリン 「だったら、パーチ！ さっさと落としてよ！」
パーチ 「簡単に言ってくれる」
エナ 「火力押しの支援型が２機、ね。・・・ミア」
ミア 「ら〜じゃ！ ２機とも引き受けたぁッ」
エナ 「じゃ、お願いね」
エナ、戦線離脱して要塞へと向かう。
イヴリン 「そんな簡単に抜かれてッ・・・！」
ミア 「ざ〜んねん」
ミアがヴォーテックスの懐に飛び込んでいる。
イヴリン 「なッ！」
パーチ 「やるね。コイツ」
ボッシュ 「ォィォィ、ホントに大丈夫なのかねえ。かなり、攻撃食ってるみたいだけど・・・」
兵士 「当たり前だ。ここは難攻不落のオケアノスだぞ」
ボッシュ 「だとイイがな。・・・こんな状態で、中将殿には会えるンですかね」
兵士 「さあな。取り次ぎはおこなった。あとは上官の判断による」
ボッシュ 「やれやれ、お役所仕事だ」
派手な戦闘で敵を引き寄せるスレッジ。
バーナバス 「かーっ！ まったく、冗談みたいにわいて来やがるぜ」
バーナバス 「援護の筈のパーチもイヴリンも来ねえし！ 一体どうなってやがる！」
バーナバス 「ドジったんじゃないだろうな！ ザカリア！ いくらオレが無敵だろうと、このままじゃ弾丸が尽きちまうぜ！」
内部に潜入するビハインド。
ザカリア 「表でドンパチやってくれてるのはイイけど、派手すぎるのは・・・」
ザカリア 「ちッ。ここはこれ以上、進めねえな」
ザカリア 「この床をぶち抜いて行くしかねえ、か」
ビームダガーで床を切り抜くビハインド。
ザカリア 「・・・と。見つかりません、よ、う、に」
アベルのソードケインとケネスのサイファーがビームサーベルで近距離戦を行いつつ、近寄る敵機を破壊する。
アベル 「なんであなたは！ 何度も何度も！」
ケネス 「慌てるなよ、アベル。主砲の動力をブッ壊しに来たんだろ？」
アベル 「邪魔はさせませんよッ」
ケネス 「邪魔どころか、力を貸してやるよ」
アベル 「そんなペテンに引っ掛かりません！」
ケネス 「二人して、政治犯を助け出した仲じゃん。仲良く行こうぜ」
アベル 「もう騙されませんよ！」
ケネス 「お前、Ａ・Ｊ・ダグラスからこの要塞の破壊命令を受けた。そうだろ？」
アベル 「目的が同じなら！ 何故あなたは！」
ケネス 「この要塞、破壊するより、エクレシアに奪取させた方が有効だと思わないか？ ん？」
アベル 「なっ・・・！？ 奪取！？」
ケネス 「そう思うなら、オレに協力しろ。悪いようにはしないぜ？」
兵士 「ここで待て」
ボッシュ 「はいはい、っと。扱い悪いな」
クルー 「仕方ありませんよ。賊かも知れない訳ですし」
ボッシュ 「まさに、その賊なんだけどな。・・・で、ここで行けるのか？」
クルー 「自信はありませんけど、やるしかありません」
クルーが、部屋の中にあるモニター部の裏側を解体し始める。
ボッシュ 「頼むぜ」
ミア 「うふン、懐が甘い、甘い」
イヴリン 「くっ」
パーチ 「イヴリン。こいつどうにも、クレイドル機関のニオイがする」
イヴリン 「でしょうね、動きがアベルそっくりよ！」
ミア 「あはっ、優秀なマシンが２体でも、パイロットがコレじゃ・・・」
パーチ 「まぁ、クレイドル機関がスーパーマン牧場だとしても・・・」
イヴリン 「こっちもスカウト組だわよッ」
パーチ 「イヴリン！ 振り切れ！」
イヴリン 「承知ッ！」
ミア 「なにッ！？」
パーチ 「こいつなら」
ミア 「ミサイルなんか！」
パーチ 「どうかな？」
パーチ、クロスボウのタッチパネルに両手十指を這わせ、ミサイルをコントロールする。
ミア 「ウソぉ！？ 追尾する！？」
ミサイルを破壊しつつ後退するミアに迫るイヴリン。
イヴリン 「よそ見してる場合じゃ」
ミア 「冗談ッ」
イヴリン 「ないわよッ！」
ミア 「まただっ！ 畜生！ 汚い真似しやがって！ コイツら！」
ミア、戦線離脱。
パーチ 「イヴリン、あいつを適度なところまで追撃しろ。深追いはするなよ。オレはバーナバスの援護に回る」
イヴリン 「了解、先のもう一機に気を付けて」
パーチ 「承知してる」
ケネス 「まあ、聞けよ。アベル」
アベル 「あなたの目的は何なんです！？」
ケネス 「この要塞、破壊しちまうよりは、エクレシアに使わせた方が今後のためだろ」
アベルの攻撃が制止する。
アベル 「そ、それは・・・」
ケネス 「今、オレの仲間が要塞内部に侵入してる。要塞のシステムをジャックするためにな」
アベル 「そんなコトが簡単に出来るんですか！？」
ケネス 「簡単な訳ねェだろ！」
アベル 「す、すみませんッ。でもシステムは厳重で、ハッキングは無理だって・・・」
ケネス 「だから、ハッキングじゃない。ジャックするのさ」
アベル 「ネタばらしは、しないんですね」
ケネス 「・・・ま。オレを信用しなくてもイイが、あと１０分だけ、動力部の破壊は待ってくれ。主砲は、エクレシアが使えば強力な防壁になる」
アベル 「・・・でも」
ケネス 「オレを信用しなくていい。あと１０分待ってシステムがジャック出来なきゃ、オレの仲間も失敗したってコトだ。その時は破壊しかない」
アベル 「・・・僕は・・・」
ケネス 「アベル！ 力を貸せ！」
アベルとケネスの前に、エナが参戦してくる。
エナ 「あら。こんな所に・・・」
ケネス 「新手か！」
アイキャッチ「Ｇ−ＧＵＩＬＴＹ」
エナ 「あらあら、こんな所に仲良く・・・」
アベル 「避けた！？ この動き！ あの時の！」
エナ 「狭いからって、寄り合っちゃって・・・」
ケネス 「コイツも内部だってのに平気で撃ちやがる・・・！」
アベル 「・・・行ってください」
ケネス 「あん？」
アベル 「・・・行ってください！ 動力部の破壊に関しては、僕の仲間が動いてます！ ザカリアを止めないと、もうすぐ動力が破壊されます！」
ケネス 「はン・・・。アベル！ 男前だぜ、お前」
ケネス、要塞内部へ。
エナ 「何処へ行く！」
アベル 「追わせない！」
ザカリア 「よぉし、パス・クリア。頼むぜ、ビハインド」
ザカリア 「・・・は。今のトコロはまだ発見されてないけど、さすがに、ここからは無理か？」
ザカリア 「だったらせいぜい、派手にやって混乱させるか！」
兵士 「ま、ままま、マシン！？ なんッ！？ どうやって！？」
ザカリア 「よそ見してンなよ」
兵士 「てっ、てきしゅ、敵襲だっ！」
ビハインドが動力炉前を銃撃。
産廃物らしいドラム缶も破壊。タールのような粘性の高い液体が溢れる。
バーナバス 「ちっ！ いい加減、オレだけじゃ・・・」
バーナバス 「おっ！？ おっ！？」
バーナバス 「遅えぞ！ パーチ！ 何処で道草食ってた！？」
パーチ 「悪いな。一人で心細かった、だろ」
バーナバス 「なんだァ、お前、そんな使い古された口説き方してるのか？」
パーチ 「顔がイイからな。口説き文句は何でもイイ」
バーナバス 「けッ」
ケネス 「侵入形跡を残してくれてるのは有り難いね！」
ケネス 「間に合えよ！」
ケネス 「ビハインド！ そこか！」
ザカリア 「・・・何！？」
ザカリア 「はン！ 警備にしちゃ、出番が早いと思ったら！」
ケネス 「悪いね！ 今はこの要塞を落とさせるワケにゃいかないんだわ」
ザカリア 「ちっ、ビハインドの居場所が見えるのか、コイツ」
ケネス 「実は当てずっぽうなんだけどね。武器を出したのが失敗だな」
ザカリア 「占い師でもやってろよ！」
ケネス 「知ってるか？ 占いってのは、統計学か、心理学的なトリックがあるンだよ」
ザカリア 「それがどうした！」
ケネス 「ホントはね、丸見えなの」
漏れだしたタール状の液体に、ビハインドの足形が付いている。
ザカリア 「なにッ！？」
ケネス 「見えてないって過信がなけりゃ、な」
ザカリア 「くそッ！」
ボッシュ 「かなり派手に揺れてるな・・・。どうだ？ 首尾のほどは？」
クルー 「コレが、その要塞のライフラインですよ」
ボッシュ 「こんなケーブル一本が、ね」
クルー 「この要塞は、建造の際に、戦艦よりも大きく、セツルメントよりも小さい、中途半端なデカさにしたのがそもそもの失敗でしたね。情報のインプットとアウトプットを単純にするしかなかったんです」
ボッシュ 「とは言え、ホントに出来るのか？ お前の言う、疑似ハッキングって奴は」
クルー 「やってみないコトには、わかりません・・・。行きますよ！」
要塞内のスクリーンの画像が全て、ジャンク画像に切り替わる。
兵士 「なんだ！？」
兵士 「システムが乗っ取られたのか！？」
兵士 「そんな馬鹿な！ ファイアウォールは完璧だぞ！ 侵入されたなんて形跡も・・・！」
兵士 「で、でも、操作を一切受け付けません！」
エナ 「ふふ、やっぱりアベルね」
アベル 「ッ！ やっぱりミア！？ いや違うエナか！？」
エナ 「正解。敵同士で会うなんて光栄ね」
アベル 「どうしてエナが議会軍にいるの！？」
エナ 「そうか。アベルは知らないのね。ふふ」
内壁をぶち破って、二機とも更に深層部に入る。画面に映し出されるのは、ジャックされたモニタ映像。
アベル 「どういう意味だ！ っ！？」
エナ 「あら」
アベル 「システムのジャックに成功したの！？」
エナ 「・・・あらあら、ちょっとマズいわね。・・・離脱しますか」
アベル 「待って！ エナ！ なんで！？」
ボッシュ 「さて、いつバレるかね？」
クルー 「しばらくはバレませんし、バレても、しばらくは対処の方法がありません。あとは、・・・Ｒ商会次第です」
ボッシュ 「しかし、システムには一切触れず、映像端子にウソの画像を流してるだけ、か。それで、要塞が混乱に陥るとはな」
クルー 「機械とのコミュニケーションは映像が主ですからね。それに頼ってる人間は大パニックですよ」
ボッシュ 「くわばらくわばら」
ケネス 「システム・ジャックにも成功したみたいだな！」
ザカリア 「くそっ！ 撤退か！ くそっ！ くそおっ！」
ケネス 「あとは、Ｒ商会が・・・」
兵士 「あ、あの光・・・機影じゃ」
兵士 「ま、まさか・・・」
ボッシュ 「おーお、やくざな連中が動き出したな」
クルー 「連中のコトですからね、この要塞にも内通者がいるんでしょう。素早いモンですよ」
ボッシュ 「主砲が使えない状態で、あの数に攻められたとしたら・・・」
クルー 「久々の完封勝利、ですね」
ボッシュ 「ここのところ、負け通しだったからな。まぁ、Ｒ商会に利権を渡すって辺りを考えると、完封とは言い難いがな」
バーナバス 「ど、どういうこった？ こいつァ」
パーチ 「さァね。・・・見るからに、援軍って訳でもなさそう・・・」
バーナバス 「どうする？」
パーチ 「どっちかと言うとこの場合、どうなるって方が問題だな」
ケネス 「よう、アベル。今回は助かったぜ。まだ撤退しないのか？」
アベル 「あなたは、何が目的なんですか？ 僕たちの敵に回ったり、味方をしてみたり・・・」
ケネス 「知りたいか？ ボウズ」
アベル 「・・・あなたに協力しました。知る権利は、あるでしょう！？」
ケネス 「じゃあ、教えてやるよ。もう一歩前に出な」
ライフルの先を振って指示するサイファー。
アベル 「はい」
ケネス 「動くなよ」
ライフルがソードケインのコックピットにあてがわれる。
アベル 「な・・・ッ！？」
暗転する眼前。
その瞬間、サイファーのビームライフルが放たれ、ソードケインを貫いた。
ナレーション 「ケネスは、アベル目掛けて引き鉄を絞った。アベルの帰還を待つクルー達。タイムリミットは刻々と迫る。 次回、『与えられた真実』 Ｇの鼓動が、今、目覚める」
