ナレーション 「独立自治権を勝ち取った宇宙移民者群セツルメントは、ようやく得た平和の中に麻痺し、やがては特権主義社会を生み出し、結局は自らが小セツルメントへの圧政を強いるようになる。時に宇宙世紀255年。各地で起きたセツルメント内紛争は、体制側と、反体制側に別れてその共同戦線を張り、セツルメント間による強大な戦禍を巻き起こしつつあった」



タイトル

「神託の騎士達」

− The knights of a myth −


兵士 「なんだこりゃ?」

司令 「どうした?」

モニターに「I am behind you.」の文字。

兵士 「・・・お前の、・・・後ろにいる? ザカリア・カウフマン・・・?」

司令 「まさか、コンピュータがハッキングされたのか!?」

同時に爆発音。

兵士B 「て、敵襲です!」

司令 「何をやっていた! 貴様らの目はフシアナか!? 敵の侵入を許すとは!」

兵士 「しかし、破壊活動が始まるまで、一切の警報も、レーダーも・・・」

司令 「そんな馬鹿な話があるか!」

兵士 「ですが、実際にどのカメラにも映っていなかったんです!」

司令 「突然発生したとでも言うのか!? ええい、警備のマシンは何をやってる!?」

兵士B 「スザクが4機、すぐに出せます!」


既に、基地内で暴れるGビハインド

ザカリア 「甘い甘い。甘すぎて虫歯になりそうだぜ。わざわざ知らせてやったってのに・・・」

ザカリア 「あん? 今ごろになって警備がご到着とは、呑気な話だぜ」

兵士A 「なに!? あんなに小型のマシンが・・・!?」

兵士C 「かまわん、とにかく撃て!」

ザカリア 「当たらねえってよ。このビハインドには」

兵士A 「馬鹿な! 当たってるはずだ!」

兵士B 「うわあああっ」

兵士C 「そんな! 敵は・・・、何をした!?」

ザカリア 「じゃじゃ〜〜ん」

兵士D 「こいつ、見えな・・っ!!」

兵士C 「影がないっ! 影だっ! アレは実体じゃない!」

兵士A 「影っ! そこかっ!」

ザカリア 「いい勘してるけど、これならどうかな?」

兵士A 「うわっ!」

ザカリア 「目で見える事は恐怖だろ?」

爆発。

兵士C 「消えたっ!?」

ザカリア 「ちなみに、これはホンモノ」

爆発。


司令 「馬鹿な!? 一対四で、あんな小型機に!」

兵士 「こ、こっちに来ます!」

司令 「わああああっ」

ザカリア 「ふん。うじゃうじゃと・・・、抜けさせてもらうぜ」

兵士 「き、消えた・・・!」


影A 「報告したまえ、ホセ・カーロ」

ホセ 「はい。まずは、こちらをご覧下さい」

モニターに映されるソードケイン。
ヴォーテックス。
ビハインド。
スレッジ。
クロスボウ。

影A 「おお、知っているよ」

影B 「これが、伝説のマシンかね」

ホセ 「実際には外装だけで、技術的にGの後継機とは言えないのですが」

影B 「そんな事はどうでもいい。・・・それで、実績は?」

影C 「それが全てだそ」

ホセ 「お手元の資料の通りです。状況にもよりますが、一機の戦力で、従来のマシン20機分の働きは出来ます」

影C 「たった20機・・・」

影B 「そんなものか・・・」

ホセ 「大人と子供が、殴り合いの喧嘩していると思っていただければよろしいかと思います。いくらなんでも、1度に20人以上を相手にするのは無理でしょう」

影A 「なるほど」

影B 「だが、たった20機ではコスト面で割に合わんな」

ホセ 「いえ。・・・1〇〇年前のマシンと比較した場合、現在のマシンの能力では、数値だけの計算で言えばせいぜい1.4倍が限度です。Gシリーズなら、1〇〇年前の約三十倍・・・。何故だかおわかりになりますか」

影A 「前振りはいらん。説明しろ」

ホセ 「人類の科学はそろそろ限界に来ていると言わざるを得ません。この一世紀で、飛躍的な進歩をした分野は、ほぼ皆無です。二世紀前と比べれば、実に、たった10年程度の伸び率だと言えるでしょう」

影B 「当時はM粒子の発見があったからな」

ホセ 「ええ、今からでもM粒子に匹敵する発明があれば、また時代は大きく変化するでしょう。ですが、現実的に一世紀もの間、発明らしい発明はない」

影C 「確かに経済面で見ても、大きな前進がないのは事実だな」

影A 「ならば、このGシリーズは?」

ホセ 「発明や飛躍は無理でも、現在ある技術を圧縮させて小型化する事は、さほど難しくありません。開発費用さえ惜しみなく投入すれば、の話ですが」

影C 「本当に湯水のように使ってくれた訳だな、君は」

ホセ 「恐縮です。・・・実際、全面戦争や、だらだらとした消耗戦はZ帝国以来ありません。大規模の戦闘が行なわれる事のなくなった現在、総力をあげての全面戦闘行為は時代遅れだと言えるでしょう」

影B 「全面戦争がなかった訳ではないぞ」

影A 「そうだ。食料戦争を忘れている」

ホセ 「ええ、しかし師団どころか、旅団さえ動いた事はありません。言うなれば、全面戦争ではあっても、前線の戦闘結果のみが流れを支配しています」

影A 「・・つまり、一機が圧倒的に強いほど良い、そう言いたい訳だな」


ユーニス 「お兄ちゃん、すごいよー」

アベル 「なに?」

ユーニス 「ほら、お兄ちゃんが映ってる!」

アベル 「ホントだ」

ジーン 「ボウズ、カッコ良く映ってるじゃねえか」

ユーニス 「あっ、変わっちゃった」

アベル 「ビハインド! ザカリアじゃないか! あいつも任務についてるのか・・・」

ジーン 「Gビハインドか。いずれコイツの整備もすると思うと気が遠くなるぜ。ザカリアのヤツ、操縦が荒いからなァ」

ユーニス 「これ、ザカリアさん? ザカリアさんも、近くに来てるの?」

アベル 「多分ね」

ナディア 「救世主は、降臨しました。神託の騎士は我々の前に現れたのです。各地で始まったエクレシアの蜂起は、救いの主を目覚めさせたのです」

ユーニス 「この人、誰なの?」

アベル 「僕も知らない」

ジーン 「お? 海賊放送、見た事ないのか? ナディアはエクレシアの広告塔だよ。こうやって、神のお告げでエクレシアをまとめてる」

アベル 「エクレシアのリーダーなんですか?」

ジーン 「いや? リーダーはクブラカンって男だな。顔は見た事もねえけど」

ナディア 「集められた五つの光は、いずれ収束し、輝きを増し、そして、民を解放するでしょう」

アベル 「あのっ、五つの光って、Gシリーズの事ですよね? ザカリアたちはもう、任務についてるんですか?」

ジーン 「おう。クロスボウもスレッジも、別のセツルメントで任務についてるハズだぜ。いずれ合流する手筈だけど」

アベル 「クロスボウだ!」

モニタの画像がアップになり、映しだされるクロスボウ。


アイキャッチ
アイキャッチ「G−GUILTY」

カメラが引いて、スレッジを映す。

バーナバス 「パーチ、わかってると思うが、調子に乗って俺まで撃ってくれンなよ」

パーチ 「バーナバス。お前が避ければ済む」

バーナバス 「目標到達まで1分! 援護頼むぜ」

パーチ 「さーて。いちいち、エクレシアまで避けて撃つつもりはないんだけどな。・・・行くぜ」

バーナバス 「ホントに敵だけ撃ってるんだかね」

パーチ 「ロックオン」

バーナバス 「・・・一応、狙ってるらしいな。そんなら、こっちも仕事するか」

バーナバス 「ヘイ! 邪魔すンなよ」

バーナバス 「この程度の戦艦なら!」

戦艦を沈めるスレッジ。

パーチ 「へぇ、やるじゃん。到達から三十秒かよ」

バーナバス 「任務完了。撤退する!」


アベル 「スレッジも動いてるのか・・・すごいや」

モニタの電源が切られる。

キャロライン 「何を見てるの、あなたたち。持ち場に戻りなさい」

ジーン 「艦長、消さないで下さいよ。今せっかく、エクレシアの美女を眺めてたんですから」

キャロライン 「昼休みは終わりです。各人、五分前行動を心掛けて」

ジーン 「ぐっ」

アベル 「はい、スミマセンでした。ユニも部屋に戻って」

部屋を退出する2人。

キャロライン 「ジーン伍長」

ジーン 「なんです?」

キャロライン 「海賊放送は、左翼偏重も甚だしいわ。こんなモノを子供に見せないで」

ジーン 「あっ。あ〜、こりゃ軽率でした」

キャロライン 「以後注意して」


ホセ 「金にモノを言わせた結果、Gシリーズは擬似的に三世代分の科学力を得られました」

影C 「大隊を動かすのと、どちらが安くつくのかね」

ホセ 「先ほど申し上げましたように、従来の20倍の働きがあると仮定しますと、戦闘回数を10回重ねるだけで、200機分です」

影B 「200・・・戦況を変えるには充分だな」

影C 「それでも割に合わんよ」

ホセ 「単純な戦闘力だけではありません。民衆に与える影響力の強さ、それがGシリーズの狙いです」

影B 「GL計画・・・。これまでに不利な戦況を覆し、地球を救ってきた伝説のマシンか」

ホセ 「その通りです。実際にはこれまで、後継機か否かを問わず、実にこの宣伝効果をねらったマシンは多かった。ですが、必ずしも成功したとは言い難い」

影C 「そのコマーシャル合戦に勝機は見出せるのかね」

ホセ 「ええ。これまでのマシンはあくまで、兵器としての開発です。量産や流通、コスト面を避けて考えた訳ではありません。このGシリーズは違います。たとえ設計図を奪われようと、金なくしては真似など出来ないのですから」

影C 「単純だな」

ホセ 「そして、その操縦者も、前述のクレイドル機関で純粋培養されたエース・パイロットです」

影C 「いいだろう。続行したまえ。予算は続けて投入しよう」

ホセ 「有難うございます」


シャイロン 「ついに、GL計画が本格始動か・・・。ケネス、貴様はどう出る?」

シャイロン 「貴様がいないと、私は目的意識を失いそうだ。早く来い・・・」

ルクレール 「ルクレール・ミロ、入ります」

シャイロン 「どうぞ」

ルクレール 「ダージェンス・アガリス中尉をお連れしました」

ズカズカと前に進むダグ。

シャイロン 「この度は、私どもの手違いで大惨事を起こし、謝罪のしようもない。特に、ミラマン大尉が戦死されたことについては・・・」

ダグ 「いい度胸だ。シャイロン一佐」

シャイロン 「誉め言葉だと受け取っておきます」

ダグ 「いいぜ。ヤツらの戦力を侮っていたのはこちらの手落ちだ。あんたらの責任にするつもりはない」

シャイロン 「それはそれは・・・。舐めきった態度で合流される事もなく、喜ばしい限りだ。ミラマン大尉を失った甲斐はある」

ダグ 「お前の手は借りずとも、あのGを騙るマシンは沈めてやるさ」

シャイロン 「頼もしい話だ」

ダグ 「小型艇を一機借りる。あの連中の居場所を燻して、確実に叩いてやる」

シャイロン 「何なら、マシンもお貸ししますが」

ダグ 「手持ちのGフェンサーで充分だ・・・! 行くぞ、ギルバート」

ルクレール 「・・・よろしかったのですか?」

シャイロン 「かまわんよ。彼の言う通り、議会軍が壊滅しようと、それは私の責任じゃあない」


ダニエル 「宙域に機影発見! 二機です。小型の警備艦だと思われます!」

キャロライン 「各人、第二戦闘配備! 向こうの動きは!?」

ダニエル 「おそらく、こっちには気付いてますね。攻めあぐねてる感じはしますが・・・」

キャロライン 「今、ここで叩くべきかしら?」

ダニエル 「どうせセグメントの連中は、我々がこの近辺に潜んでいると目星をつけてるハズですからね。細かな位置を知られても問題はないと思いますが」

キャロライン 「・・・わかったわ。ソードケインと、ヴォーテックスの発進準備」


ダグ 「ヤツらの出所だけをしっかり調べとけ、あっちの艦を餌にする」

兵士 「はいっ」

ダグ 「オレが一機で出る、いいな。データを取ったら、照明弾を撃ち上げて、すぐに収容しろ。撤退する」


ダニエル 「来ました! マシンが一機です!」

キャロライン 「一機!? 罠なの?」

ダニエル 「アベル達を出しますか!?」

キャロライン 「・・・・・・アベル君だけ出撃させて! イヴリンは待機! 万が一アベル君が突破されたら出られるようにして!」

ダニエル 「装備はSKのままですが」

キャロライン 「装備交換してる余裕はないわね。SKのままで出して」

ダニエル 「了解! ソードケイン、出撃!」


アベル 「ソードケイン、出ます!」


ダグ 「来たか! ニセモノが!」


アベル 「に、逃げる!?」

ダグ 「その一機が桁外れに強いというなら、こっちは頭脳戦で行かせてもらう!」

照明弾。

アベル 「なに?」

ダグ 「土産だ! 受け取れ!」

アベル 「艦が、・・・突っ込んでくるの!?」


キャロライン 「・・・っ! アベル君、まずいわ! 攻撃しちゃダメ!」

アベル 「ええぃ!」

ライフルが艦を直撃する。

その直後、とんでもない爆発。


キャロライン 「アベル君っ!」

ダニエル 「爆薬っ!?」


ダグ 「どうだ!? 置き土産の味は・・・!? なに!?」

爆炎の中から、ビームシールド全開のソードケイン。

ダグ 「ば・・・化物か、あの爆発で・・・」


キャロライン 「・・・すぐに、撤退命令を出して回収して」

ダニエル 「りょ、了解。アベル、聴こえるか? アベル」


アベル 「・・・はぁっ、はあっ」

アベル 「すごい殺気が・・・、あのパイロット・・・、僕を殺すつもりで・・・」

ダニエル 「アベル!? 聴こえてるのか!? 応答しろ、アベル!」



次回予告

ナレーション 「議会軍の激しい追撃が、アベルたちを襲う。そしてその戦況の影に潜むは宇宙海賊。圧倒的な力を見せつける宇宙海賊の駆る機体は、漆黒のGと思しきマシンだったー。次回、『黒い機体』 Gの鼓動が、今目覚める」

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